大判例

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横浜家庭裁判所 平成6年(少)8280号

主文

少年を医療少年院(医療措置終了後は中等少年院)に送致する。

理由

(ぐ犯事由・ぐ犯性)

少年は、中学3年時の平成4年8月5日、ぐ犯保護事件により、入鑑のうえ在宅の試験観察となり、その後惹起したトルエン所持の事件と原動機付自転車無免許運転の事件を併せて、中学卒業間際の平成5年3月5日に中間審判を経て、卒業後の同年4月12日に保護観察処分を受けたものであるが、同月21日にはトルエン吸入所持の事件を起こし、その後は飲食店のアルバイトをした程度で、両親の再三の指導にも従わず同年10月ころから徒遊状態となり、平成6年6月ころには軟派された成人男性と同棲して覚せい剤を使用していたようであり、この男性と別れた後も、同年10月ころから別の成人男性と交際して半同棲のような生活を送り、仲間と覚せい剤を複数回使用するなどしており、もって、保護者の正当な監督に服しない性癖があって、正当な理由がなく家庭に寄り附かず、犯罪性のある人と交際して、自己の徳性を害する行為をする性癖があり、このまま放置すれば、その性格、環境に照らし、将来、毒物及び劇物取締法違反や覚せい剤取締法違反などの罪を犯すおそれがあるものである。

(法令の適用)

少年法3条1項3号本文、同号イ、ロ、ハ、ニ

(処遇の理由)

少年は、平成2年4月の中学入学直後から異装などで目立ち、不良の先輩と繋がりができるなど素行が良くなかったため、中学2年の開始時に合わせて、両親が生活の改まることを期待し、現住居に移転して転校をしたが、援業についていけず、怠学して夜遊びが頻繁になり、ダイヤルQ2遊びなどで外泊を繰り返し、シンナー等の有機溶剤の吸入も覚えて、その行状が悪化したことから、平成4年7月14日にぐ犯で立件され、その後については、前記摘示のとおりの経過をたどり、平成6年12月12日に本件で観護措置がとられたものである。

少年は、小学校時代から学業に適応できない状態が継続していた様子で、中学卒業後もまともな就労体験がなく、漠然とした不安や不満を薬物の使用や不良交遊で解消していたようであり、その性格・行動傾向については、気弱で自信がもてず、引っ込み思案で依存欲求が強い、周囲に流されがちで刹那的な行動が多いなどと指摘されている。そして、少年と薬物とのかかわりをみると、シンナー等の有機溶剤から覚せい剤の使用に移行しており、その他の薬物を試した経験も窺えることからすれば、その性格等に照らし、精神的にも依存傾向が進行しつつあるものといわざるを得ない。また、保護観察の状況については、保護司との接触は比較的保たれていたようではあるが、生活の実態は、前記摘示のとおりであって(もっとも、最初の成人男性との同棲については、両親が黙認していたとも看取できる。)、結局のところ、少年にとって保護観察は何ら意味をもたなかったというべきである。

してみると、少年の要保護性はかなり高度に認められ、保護者の両親の続制力をもはや超えているものとみざるを得ないのであって、少年の今後の更生のためには、早期のうちに施設に収容して、そこでの矯正教育に委ねるほかないものと思料する。そして、現在、少年が性病に罹患していることから、少年を医療少年院に送致し、医療措置終了後は中等少年院に移送することとし、施設での教育を通じて、少年において、今回の一連の措置のなかで芽生えた自らの問題に目を向ける姿勢を持続しながら、一つひとつの課題を達成し、自分に自信をつけることによって、一人の女性として、平凡ではあっても普通の社会生活を過ごせるような基本的な力が育まれることを期待したい。

よって、少年法24条1項3号、少年審判規則37条1項を適用して、少年を医療少年院(医療措置終了後は中等少年院)に送致することとし、主文のとおり決定する。

(裁判官 平田直人)

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